事案の概要(弁護士に委任するまでの経緯)
公務員のKさんは、慢性疲労症候群を発症したことにより、仕事を休職していました。
その休職中に、自転車で買い物に外出したKさんは、バイクに衝突される交通事故に遭いました。
Kさんは、交通事故によって仙骨及び胸椎を骨折し、3週間の入院治療を受け、さらに7カ月にわたる通院治療を受けたものの、後遺障害11級7号(胸椎圧迫骨折による脊柱の変形)が残りました。
Kさんは弁護士特約の保険に加入していたため、原田弁護士に保険会社との保険金の交渉を無料で依頼することにしました。
保険会社との交渉内容
1回目の提示金額 450万円
保険会社と保険金の交渉をしたところ、保険会社が最初に提示した保険金の金額は450万円でした。
その理由は、①治療費、通院交通費、入院雑費、装具代は全額支払うものの、②入通院慰謝料及び後遺障害慰謝料は、現在は裁判ではなく示談交渉中であって、裁判をせずに早期に保険金を受け取ることができるメリットがあることを理由に10%の減額、③休業損害は、公務員の仕事を休職中であるため、そもそも給料の損失はないことを理由に支払わない、④後遺障害逸失利益は、胸椎圧迫骨折による脊柱の変形は労働能力の喪失率に影響しないことを理由に支払わないというものでした。
これに対して、以下の内容の反論を行いました。
②示談交渉で解決することは、保険会社にとっても認容額の10%の弁護士費用及び年3%の遅延損害金の支払を免れるメリットがあるため、裁判基準で算出した入通院慰謝料及び後遺障害慰謝料の100%の支払を求めること、③公務員の仕事を休職中であっても、Kさんは自宅で専業主婦として従事していたため、家事従事者(専業主婦)の損害が発生していること、休職期間中は給料を受け取っていないこと、休職中に受け取った傷病手当金は損益相殺の対象にならないことを理由に、家事従事者(専業主婦)の休業損害の支払を求めること、④Kさんの職務内容は農作業(鍬で畑を耕し、約30㎏の土を抱えて土を畑に投入し、種まき、キャベツや白菜などの重い収穫物や農具等の重たい物の運搬作業)であるため、胸椎圧迫骨折による脊柱の変形は労働能力の喪失率に影響する、後遺障害逸失利益の支払を求める。
2回目の提示金額 820万円
保険会社が2回目に提示した保険金の金額は820万円でした
その理由は、②裁判基準で算出した入通院慰謝料及び後遺障害慰謝料は100%支払うものの、③専業主婦の休業損害は、そもそも慢性疲労症候群で家事労働をしていなかった、休職中に傷病手当金を受け取っているため休業損害も受け取ると二重取りになることを理由に支払わない、④後遺障害逸失利益は、専業主婦の逸失利益が生じたとして専業主婦の年収を基準に喪失率10%、喪失期間10年間分の350万円を支払うというものでした。
これに対して、以下の反論を行いました。
③専業主婦の休業損害について、かかりつけ医の主治医から慢性疲労症候群の治療経過に関する意見書を取得し、事故当時は家事労働ができたことを主張するとともに、傷病手当金を受けていても休業損害を受け取ることは二重取りにならない裁判例を提示、④後遺障害逸失利益の喪失率、喪失期間に関する裁判例を提示し、Kさんの職務内容が農作業であったことなどのKさんの陳述書を提出。
3回目の提示金額 1050万円
保険会社が3回目に提示した保険金の金額は1050万円でした。
その理由は、③専業主婦の休業損害として100万円を支払う、④後遺障害逸失利益は、専業主婦の逸失利益が生じたとして専業主婦の年収を基準に喪失率14%、喪失期間10年間分の500万円を支払うというものでした。
これに対して、以下の反論を行いました。
④後遺障害逸失利益について、喪失期間を15年間とするよう求める。
解決結果
4回目の提示金額 1240万円
保険会社が4回目に提示した保険金の金額は1240万円でした。
その理由は、④後遺障害逸失利益は、専業主婦の逸失利益が生じたとして専業主婦の年収を基準に喪失率14%、喪失期間15年間分の700万円を支払うというものでした。
Kさんは、仮に裁判になった場合の見通しを踏まえて、この1240万円に納得して示談することにしました。
本件は、弁護士が保険会社と交渉した結果、保険会社からの保険金の提示金額が約3倍になったケースです。
また、Kさんは弁護士特約保険を利用したため、数百万円かかるはずであった弁護士費用を自己負担なく無料となりました。