当事務所が電話やLINE・WeChatで法律相談をしない理由

本稿では、当事務所が電話やLINE・WeChatで法律相談をしない理由について、説明します。

目次

利益相反の有無の確認のために、本人確認をする必要があること

弁護士法及び弁護士職務基本規程では、利益相反を防止するために、弁護士は、法律相談を受けたお客様の事件の相手方から法律相談を受けることを禁止しています(例えば、弁護士は、AさんからBさんとの件で法律相談を受けた場合、後日、BさんからAさんの件で法律相談を受けることができません)。
そのため、弁護士は、必ず、法律相談を受ける際に、相談者と事件の相手方の名前(会社名)を確認しなければなりません。

電話では本人確認のための身分証明書を確認することができないこと、LINE・WeChatでは他人の身分証明書を送付される問題があることを踏まえて、当事務所では必ず対面で身分証明書を確認しています。

契約書などの証拠資料を確認したうえで、詳しい事情を聞く必要があるため

裁判官は神様ではなく人間であるため、裁判では真実が勝つのではなく、証明力が強い証拠を持っている方が勝ちます。
また、裁判で勝つか負けるか、裁判で勝ったとしても強制執行をして相手からお金を回収することができるかどうかを判断するためには、詳しい事情を聞く必要があります。

例えば、相手が貸したお金を返さない事案の場合、①相手との関係、②お金を貸すことになった経緯、③貸した金額、④お金を貸した際の振込履歴や領収書の有無、⑤お金を貸した時期、⑥契約書(借用証)の有無、⑦契約書(借用書)の内容、⑧相手とのLINEやWeChatなどのやりとりの内容、⑨相手からの返済の有無・金額、⑩相手が返さなくなった時期、⑪相手が言っている返さない理由、⑫こちらからの督促の有無・内容、⑬相手の住所や連絡情報、⑭相手の勤務先、収入、資産状況など、様々な事情を聞かなければ、裁判で勝つか負けるかなどを正確に判断することができません。

つまり、裁判で勝つか負けるかなどを判断するためには、証拠資料の有無と証拠資料の内容を確認したうえで、様々な事情を聞き取る必要があります。しかし、電話では弁護士が証拠資料の内容を直接目で見て確認することができませんし、LINE・WeChatのメッセージで様々な事情を聞き取るのは非常に困難です。

以上の理由により、当事務所では、お客様が抱える法的問題を解決するための方法やその成功可能性を正確に回答するために、必ず事務所で対面での法律相談を行い、契約書などの証拠資料を確認したうえで、様々な事情を聞き取ることにしています。

病院と法律事務所は同じであること

病院の診察と法律事務所の法律相談は同じです。

身体に不調を感じたとき、医師に電話やLINE・WeChatを用いて無料で診察・検査を求めることはありえないと思います。
身体に不調を感じ、病院で治療を受ける場合は、①病院に予約の連絡をし、②予約した日時に病院に行って医師の診察・検査を受けた後、③医師から薬の処方や手術などの治療を受けるとともに、医療費を支払うと思います。

法律事務所も病院と同じです。
法律トラブルを感じたとき、弁護士に電話やLINE・WeChatを用いて無料で法律相談を求めることはありえません。
法律トラブルを感じ、法律事務所で解決をする場合、①法律事務所に予約の連絡をし、②予約した日時に法律事務所に行って弁護士の法律相談を受けた後、③弁護士から示談交渉や裁判などの処理を受けるとともに、弁護士費用を支払います。

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