本稿では、警察に逮捕された後の身柄拘束期間、公判などの流れについて簡単な解説をします。
第1 被疑者(逮捕・勾留)
身柄拘束期間は、最長で23日間(逮捕で3日、勾留で最大で20日間)です。以下それぞれのポイントを解説します。
【逮捕】
逮捕されたときの身柄拘束期間は、72時間(3日間)です。
逮捕されると留置場に入れられ、警察官の取調べ(弁解録取)を受けることになります。そして、逮捕後48時間以内に、警察から検察に事件が引き継がれます。
検察に事件が送致がされると、検察官の取調べ(弁解録取)を受けることになります。
そして、検察官は、事件の送致を受けてから24時間以内に、勾留を請求するか、それとも釈放するかを判断します。
【勾留】
検察官が勾留の請求を行い、裁判官が勾留の決定を行うと、身柄拘束期間が10日間延長されます。
勾留は、①住居不定、②罪証隠滅のおそれ、③逃亡のおそれ、がある場合に認められます。
検察官は、この10日間のうちに、取調べを含めた必要な捜査を行い、起訴・不起訴の判断をします。
もっとも、検察官は、事件が複雑などが原因で、さらに必要な捜査をしなければ起訴・不起訴を判断することができないやむを得ない事由があれば、勾留の延長を請求することができます。
勾留の延長がされると、身柄拘束期間はさらに最大10日間延長されます。
つまり、身柄拘束期間は、最長で23日間(逮捕で3日、勾留で最大で20日間)となります。
【逮捕・勾留時の弁護活動】
逮捕時の弁護活動で重要なことは、①黙秘権や、供述調書の内容に間違いがあれば訂正を求めることができること、供述調書の署名・押印を拒否できることなどの権利を伝えるとともに、②住居不定、罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれがなければ、検察官と裁判官に対し、勾留しないよう弁護人の意見書を提出することです。
この点、逮捕されているときは、1回だけ無料で当番弁護士を呼ぶことができますので、弁護士から黙秘権等の権利を教えてもらうことができます。
次に、勾留時の弁護活動で重要なことは、①否認事件であれば黙秘し続け、自白事件であれば被害者と示談交渉をすることで、検察官に不起訴(否認の場合は嫌疑不十分、自白の場合は起訴猶予)とするよう働きかけるとともに、②示談が成立したことで罪証隠滅のおそれはない、身元引受人がいるので逃亡のおそれはない、などを理由に勾留に対する準抗告や取り消しを求めて、身柄の早期釈放を実現することです。
第2 公判
勾留期間満了時に、検察官が起訴しなければ釈放されます。もっとも、起訴されれば裁判所が判決を下すまで、身柄の拘束が続くことになります。
公判の弁護活動で重要なことは、①保釈を請求して身柄の早期釈放を実現するとともに、②否認事件であれば、アリバイ等の証拠を収集しながら、被害者や証人に尋問を行うことで、無罪判決を求め、③自白事件であれば、被害者との示談や、情状証人の尋問を行うことで、執行猶予または減刑の判決を求めることです。
保釈が認められれば、裁判所の判決を待たずに釈放されますが、一時的な身柄の解放にすぎませんので、もし実刑判決を受ければ、刑務所に収容されてしまうことに注意が必要です。
保釈が認められるためにはいくつかの要件がありますが、身元引受人や保証金が必要になります。
保釈保証金は、一般的に150万円~300万円必要になると言われています。そのような大金を用意することができない場合は、2ケ月ごとに数万円の立替手数料がかかりますが、日本保釈支援協会で保証金を立て替えてもらうことができます。