本稿では、示談交渉、裁判、強制執行の違いについて、簡単に説明をします。
示談交渉
示談交渉とは、相手と話し合いで解決をする手続です。
弁護士が行う示談交渉は、通常、請求する側は相手に通知文書を送付し、請求された側は相手に回答文書を送付することで開始します。
示談交渉はあくまでも話し合いで解決をする手続であるため、相手の同意が必要になります。
つまり、相手がこちらの請求に納得できずに応じない場合には、双方の権利・義務を確定させる裁判をするしかありません。
裁判
裁判とは、裁判所が双方の権利・義務を確定させる手続きのことです。
裁判は、訴状を裁判所に提出し、裁判所がこの訴状を相手に送達することで始まります。
裁判は、1ヶ月~1ヶ月半ごとに、裁判所で自分の意見を口頭で述べるのではなく、自分の意見を記載した文書を提出することで進められます。
第一審の裁判は一般的に1年程度かかりますが、複雑な事件の裁判の場合は2~3年かかることもあります。
裁判所は、最後に尋問の手続を行った後に、判決をもって双方の権利・義務を判断します。
日本は三審制ですので、第一審での判決に納得できない場合には、控訴で第二審、上告で第三審と裁判が続きます。
裁判では判決とは別に、和解で裁判を終わらせる方法もあります。
和解とは、原告と被告がお互いに譲歩をして話し合いで裁判を終わらせる手続です。もっとも、示談交渉と同様に相手の同意が必要です。和解の条件は自由に決めることができますが、相手が同意しない場合には和解ができませんので、一定の譲歩が必要になります。
なお、裁判はあくまでも裁判所が双方の権利・義務を確定する手続きですので、相手が裁判に負けたにもかかわらず判決書に記載された金額のお金を支払わない場合には、強制執行をする必要があります。
強制執行
強制執行とは、相手が裁判に負けたにもかかわらずお金を支払わない場合に、裁判所が判決書の内容を強制的に実現する手続です。
具体的には、強制執行には、①債権の差押え(相手の銀行口座の預貯金からお金を回収する手続や、勤務先から相手に支払われる毎月の給料からお金を回収する手続)、②不動産執行(相手が所有する不動産を売却して、その売却金からお金を回収する手続)、③動産執行(相手の自宅内にある現金や宝石などの財産を差押えて換価する手続)などがあります。
もっとも、相手が有する銀行口座や勤務先、不動産などの情報については、自分で調査する必要があるため、手間暇がかかります。また、相手に本当に財産がない場合には、強制執行をしたとしてもお金を回収することはできません。